人々はなぜ入国を続けるのか、その謎を解き明かすべく劇場に足を踏み入れた

2019年8月、わたしの周りで異変が起きていた。


「今日も入国をした」そのように言っている友達がいた。「入国」とはなにか。よくよくツイートなどを見るとどうやらアニメの映画を見に行っているらしい。ああ、その界隈では映画を見に行くことを入国と言うのねなるほど、と。そこまではよくある話だった。しかしどうやら様子がおかしい。
同じ映画を何度も何度も見ているのである。しかも粛々とした様子で。いや別に同じ映画を何度も見ること自体はおかしくはない。わたし自身も大好きなラブライブ劇場版は5回くらい見に行った。にしても・・・・20回超えはさすがにおかしくないか?????????日に日に友達の様子はどんどんおかしくなっていった。ほんの少しでも空き時間があれば入国できる劇場はないのか必死に探している。わたしはその様子を見て恐怖すら感じるようになっていた。
またある時は「0時発売のチケットがあるからそのチケ取りを手伝ってほしい」とお願いされ、はいはい了解と手伝ったところ全然取れない。取れないというかそもそも取るためのサイトに繋がらない。なんだこれは。(どうやらそれは入場特典として銀テープがつくものだったらしい)・・・映画なんだよね?特典がつくといえども舞台挨拶つきでもない映画を見るために(しかもタイミング的に上映開始からかなり日にちが経っているのに)こんな大変なことはあるのか。恐ろしくなった。
さらに恐ろしいのは様子がおかしい友達は複数人いたことである。前述の友達はもともとこの作品が好きだったそうなのだが、もう一人の友達はまったく二次元に興味がない女子ドルオタク繋がりの友人であった。・・・・・え!?!?!?!なんで某ちゃんまでハマってるの???今までアニメにそんなハマったことなんてあったっけ????たくさんの疑問が頭の中を飛び交った。その友達も入国回数はゆうに20回を超えていた。どうなっているんだ。劇場で一体なにが起きているんだ。わたし自身はその作品のストーリーをほぼ知らずキャラの顔と名前くらいはぼんやりとわかる、ミリしらというよりは1センチくらいは知っているというレベルだったのだがどうしてもどうしても劇場でなにが起きているのかを知りたくなってしまい、友達に頼んで一度同行させてもらうことにした。


そう、その映画とは劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダムである。

utapri-movie.com


行く前にまた別のうたプリファンの友達に報告をした。気になったから見に行ってくるね!と。彼女は喜んでぜひ楽しんできてね!と言ってくれた。ふと気になったので彼女にも聞いてみた。「ちなみに何回見てるの~?」と。
「63回だよ(笑)」と返ってきて震えた。
他の友達の入国の様子にも震えていたが彼女からリプライをもらった瞬間が一番震えた。

 

 

結果から言うと、初めての入国は楽しかった。が、そこまで魂を揺さぶられたりしたわけではなかった。

 


おおなるほど、聞いてはいたけれど本当に全編ライブなんだ!これはすごい。でもキャラのことほぼわからないしMCがちょっとかったるいかな~・・・今までのストーリーとかわからないしな・・・。などということを思った。ライブ本編はたしかにすごかった。圧倒された。会場はおそらく東京ドームを想定されているのだと思うが、今までのジャニーズのドームコンサートで「見たことある」演出のてんこ盛りだった。花火が上がる、噴水が出る、フライング、火薬特効、巨大なフロート・・・などなど。ひとつひとつ演出が出てくるたびに「これわたしドームで見たことある!!!!!」と興奮した。ここまで現実の演出に近いものをアニメ映像で表現しているのがすごいな~と思った。アニメだから現実よりも大げさだったりいやそれはちょっとありえなくない???みたいな部分もあるのだけれど(謎の空飛ぶマシン?だったりマジの火災レベルの特効だったり)、そのさじ加減が絶妙で完全ファンタジーになっていないところがうまいなと唸った。
OPのST☆RISHがドームに現れた瞬間の高揚感なんてとくにすごくて、うたプリのことを全く知らないわたしでもちょっと泣きそうになった。いままでずっと好きだった人はきっとこのOPだけで泣いちゃうだろうな~なんて思った。だって初めてのドームコンサートなんだよね?そんなの泣いちゃうよ。

 

人生このかた女性向け二次元ジャンルにハマったことのなかったわたしはライブ本編に感動した、そこ止まりだった。何人かかっこいいな~と思うキャラはいたもののそこまで惹かれずに終わってしまったのでああまたか・・・と思った。つくづく二次元男子に萌える才能がないなと。

 

しかしながらライブの曲が良かったこと、入国をした日は体調がよくなかったこと、友達が相変わらず粛々と入国を続けていること、ちょこちょこと映画を見て気になった点を友達に聞くようなり若干知識が増えたこと(あのキャラはそういえばどんな性格なの?どんな関係性なの?など)、、、いろいろ積み重なって日に日にじわじわと「ちょっとまた見たいかもな」と思うようになってきた。
さらに、ウルティラ上映のうわさが耳に入ってきた。(ウルティラがなんなのかというのはこちら参照)以前からうわさは聞いたことがあったウルティラ。わたしがガルパン劇場版で体感したかったやつや・・・泣 そのウルティラ上映がどれだけすごいものなのかが気になりもう一度ひとりで入国してみることにした。この時点ではもう一度うたプリが見たい、というよりもウルティラ上映を体感してみたい、という気持ちのほうが勝っていたと思う。完全に初回入国同様、興味本位であった。

 

満を持してイオンシネマに足を踏み入れたその日、まああの、いろいろありまして自ユニに、、、いまからウルティラ体験するのになんというタイミングだ・・・と思いながらゴールドクラスのラウンジで自担のブログ読んで半泣きになって、着席して客電が落ちたころにはもう誰も気にしてないからいいや~って思って人目もはばからず号泣してたらいつのまにかまぶしい輝きを放ったST☆RISHがドームのはるか高みに現れてさらに大号泣した。まぶしすぎて目がつぶれるかと思った。「ずっと好きだった人はこのOPだけで泣いちゃうよね」そんなことを考えていたわたしはいま、OPで号泣している。まぶしい。本当にまぶしい。ST☆RISHの7人は希望の光のようにきらめいていた。

 

そんなよくわからないボロボロの情緒のまま最初のMCを見ていたら、ST☆RISHの中にひとり気になる人がいた。もともとST☆RISHのメンバーは顔と名前だけならほぼ全員知っていたのに唯一知らなかった人。数日前からTwitterが動いていたらしく、友達がRTなどをしていた・・・・たしかこの人、一ノ瀬トキヤさん。あの真面目なTwitterを書く人・・・・。

 

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あとから気づいたんけど数日前に友達にLINEで聞いていたらしく笑った

 


ん?ちょっと待ってこの人もしかしてめちゃくちゃかっこよくないか????????え????????こんな人いた?????こんなかっこいい人にわたしは気づいていなかったのか???????


と戸惑っているうちに最初のMCが終わった。そのあとはユニット曲が続く上に一ノ瀬トキヤさんの出番は一番最後のユニットだ。この気持ちを確かめたくても彼はなかなか出てこない。いやいやそんな、こんな一番かっこいい人にいまごろ気づくだなんてそんな。そわそわしながらほかのユニット曲を見届け、次にトキヤがユニット曲カレイドスコープで登場したときには「やっぱりこの人のことが好きかもしれない・・・・」となり、続くST☆RISH曲のウルトラブラストが始まる直前には「えっ、この曲トキヤがいる曲だよね無理無理無理無理たすけて・・・・・・・・」とひとりで座席から逃げ出したくなっていた。

 

アンコールまで見届け、劇場から出たわたしの手は震えていた。友達に即LINEした。

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どこがいいのかなにがいいのか決定的なきっかけはなんだったのか、自分でもまったくよくわからない。とにかく一ノ瀬トキヤを好きになってしまっていた。
あれ、ちょっとまって、この感じ、3次元アイドルに恋をする瞬間とまったく変わりなくない???????また震えた。2次元のアイドルにこんな気持ちにさせられるなんてまったく思っていなかった・・・。

 

それからわたしはトキヤにもう一度会って確かめたくなり友達とまた入国をすることにした。三連休の初日だった。3回目の入国は体感10分ほどで終わってしまった。あんなにかったるいなと思っていたMCも体感10秒ほどで終わった。
その三連休にさほど予定のなかったわたしは「明日の夜も行けるな」と思い立ち、翌日もまた入国をした。
そのことをSNSに書いたらまったく別の友達から連絡をもらった。「私もウルティラ上映が気になっている」と。ちょっと待ってくれ君もプリンセスだったのか。あれよあれよと翌日2人で入国することにした。お昼すぎの上映だったのだが、気が付いたらわたしは夜の上映のチケットも取っていた。入国時の体感時間は2分ほどになっていた。本当にすぐに終わってしまうのだ。
気が付けば三連休で4回も入国をしてしまった。自分でも何をやっているのかちょっとよくわからない。

 

うたプリ本編について、アニメもゲームもまったく内容を知らなかったわたしはひとまずアニメから履修することにしたのだがアニメ第一シーズンを見たわたしは衝撃を受けた。「わたしの好きになったトキヤがいない・・・・」そこにいたのは鋭い目をした、悲しい表情にも見えるような一ノ瀬トキヤだった。友達に話を聞くと、皆口をそろえて「色々あったんだよ・・・」と言う。
なんでトキヤがよかったんだろうな、と考えると未だにまったくまとまらないんだけど、そんな中でもこれだなと思える理由がひとつあって、マジLOVEキングダムのトキヤはめちゃくちゃに表情が優しいのだ。こんなに慈しみをもった表情で微笑むアイドルがいるのかってくらい優しく笑う。何回か入国してそれがわかってきて、「わたしはきっと今のトキヤだから好きになったんだな」って思ったんだけど・・・・・・え、なに???その3次元アイドルと同じような気持ちは??????????作品のなかで彼らもまた確実に彼らの時を生きてきたという証拠なんだと思う。まさか2次元においてこんなことを考えさせられるなんて思わなかった。いや、もう2次元も3次元もない。アイドルはどんな世界にいても違わずにアイドルなのだ・・・。「アイドル推すにはご縁とタイミング」と常々思っているのだけど、もしかしてうたプリを初期から好きになっていたら違う人に恋をしていたかもしれない。

 

 

人々はなぜ入国を続けるのか、その謎を解明するために劇場へと潜入したはずがわたしまで入国をし続けるようになった。
わたしは今日もまた、入国できる日を探し9月のいまでも上映を続けている劇場の残席を調べている。

 


マジLOVEキングダム、今行ける最高の現場です。
できればもうちょっと早く上映館数減る前に恋に落ちたかったけど!

 


ちなみに昨日7回目見たけど日向大和くんが花道歩いてるときにとんでもねえファンサしてるのを初めて目撃してちびりそうになった。7回見ても毎回新しい発見があるのやばい、最高の現場・・・・。